
1. 業務プロセスとFitしていない

バーティカルSaaSは業界特化型である一方、同じ業界でも企業ごとに業務フローは異なります。導入段階で「自社のプロセスを明確に言語化していない」場合、いざ運用すると現場とのミスマッチが生まれます。機能自体は優れていても、日々の業務に自然に組み込めなければ、ユーザーは旧来のやり方に戻ってしまいます。Fit-Gap分析を初期段階に行い、自社がどこを変えるのか、SaaS側でどこまで吸収できるのかを整理することが欠かせません。
2. 現場のオンボーディング不足
導入プロジェクトで意外と軽視されるのが、現場ユーザーへの教育とフォローです。管理職レベルでは「使えば便利になる」と理解していても、実際に触るのは現場スタッフであり、慣れないツールは抵抗感を生みます。十分な研修やOJTがないまま運用を始めると、定着は進まず、結局Excelや紙の業務に逆戻りするケースが多く見られます。SaaSは導入後の支援も含めて成果が決まるため、オンボーディング計画はシステム導入計画と同じくらい重要です。
3. 機能過多による運用崩壊
バーティカルSaaSは“現場の細かな課題を拾う”という性質上、機能が豊富になりがちです。しかし導入企業がすべての機能を使いこなせるわけではなく、選択と集中を誤ると日常業務が複雑化します。特に複数部門で利用する場合、どの機能を誰が使うかを定義せずに運用すると、データ入力が属人化し、レポート精度が落ちるといった問題が起こります。必要な機能を最初から絞り込み、段階的に展開する方が成功率は高まります。
4. データ移行と連携を軽視
既存システムや紙・Excelで蓄積してきたデータをどう扱うかは、多くの企業で課題になります。データ移行計画が不十分だと、初期データの不整合や連携不良が起こり、せっかくのSaaSが“使えない”と見なされてしまいます。また、バーティカルSaaSは自社システムとの連携要件が独特な場合もあるため、API利用可否やデータ形式の違いを早期に確認することが欠かせません。移行や連携は「後で考えるもの」ではなく、導入企画の段階で検討すべきポイントです。
5. 導入目的が曖昧なまま運用開始
SaaS導入が失敗する企業に共通するのが、目的の抽象度が高すぎることです。「DXを進めたい」「効率化したい」というレベルでは、具体的な評価基準が設定できず、現場もどこを改善すべきか分からなくなります。目的を明確にしないまま導入すると、ツールは動いていても成果が見えず、社内の支持も得られません。バーティカルSaaS導入では、改善したいプロセスやKPIを事前に定義し、プロジェクト全体で共有することが欠かせません。
バーティカルSaaSは、業界固有の課題を深く理解したうえで設計された強力なツールですが、その分だけ導入プロセスには慎重さが求められます。成功する企業は例外なく、業務Fitの検証、現場のオンボーディング、運用範囲の明確化、データ移行と連携計画、そして導入目的の可視化といった基本を丁寧に行っています。導入自体よりも、運用定着までを一つのプロジェクトと捉えることが成果につながります。自社に最適なバーティカルSaaSを選び、業務と現場に寄り添った形で使いこなせれば、日々の業務品質と組織の成長力は確実に向上していくはずです。
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