
1. バーティカルSaaSとは?
バーティカルSaaS(Vertical SaaS)とは、特定の業界・業種に特化して設計されたクラウドサービス。
医療・建設・教育・製造など、それぞれの業務フローや法規制、専門用語に合わせて最適化されており、現場課題を深く解決できるのが特徴です。
一方、会計やCRMなど複数業界に共通で使えるものは「ホリゾンタルSaaS」と呼ばれます。
つまりバーティカルSaaSは、業界の“職人仕事”を支える専用クラウドといえます。
2. なぜ「特化型SaaS」が注目されるのか
デジタル化が進む中、業界固有の課題(法規制、データ保護、現場作業など)が複雑化。
汎用ツールでは対応しづらいため、業界理解に基づいた設計を持つSaaSが求められています。導入時の業務適合性が高く、現場の抵抗が少ないことも普及を後押ししています。
3. 業界別・注目のバーティカルSaaS事例10選
医療業界

医療分野では電子カルテや遠隔診療のクラウド化が急速に進んでいます。
・M3(エムスリー)クラウド:医師ネットワークを活かした診療支援・医薬情報管理サービス。
・エムスリーデジカル(M3 Digikar):診療所向けのクラウド型電子カルテで、レセプト請求もワンストップ対応。
これらは医療法や個人情報保護法に準拠しながら、現場負荷を軽減する仕組みを整えています。
建設業界
現場の効率化・安全性・情報共有を支えるバーティカルSaaSが急成長しています。

・ANDPAD(アンドパッド):施工管理・写真共有・チャット・工程表などを一括管理できる日本発のSaaS。
・プロコア(Procore):海外では標準的な建設プロジェクト管理ツール。
特にANDPADは中小企業から大手ゼネコンまで導入が進み、「現場のDX化」を象徴する存在となっています。
教育業界
教育分野では学習データの可視化と遠隔授業管理が進んでいます。
・Classi(クラッシー):ベネッセとソフトバンクの共同事業による学習支援プラットフォーム。
・Studyplus for School:学習塾や予備校向けに、学習進捗・コミュニケーションを一元管理。
飲食・ホスピタリティ業界
店舗運営の効率化や顧客データ活用を支える特化型SaaSが登場。

・トレタ(Toreta):予約・顧客管理に特化した飲食店向けSaaS。
・Hubster Japan:デリバリー注文の一元管理プラットフォーム。
不動産・施設管理業界
契約・入居・設備保守までを統合管理するSaaSが普及中。

・WealthPark(ウェルスパーク):不動産オーナー向けの資産運用管理クラウド。
・at BB(アットBB):賃貸仲介業務を効率化するクラウド基盤。
法律・士業業界
業務の機密性が高い士業分野では、安全で一元化されたツールが求められています。

・Smart HR for Professional Services:社労士・税理士業務向けクラウド労務管理。
・CloudSign(クラウドサイン):弁護士ドットコムが提供する電子契約サービス。
製造・工場業界

工場の生産効率と品質管理をデータで最適化するSaaSが広がっています。
・CADDi(キャディ):製造調達プロセスを自動化し、見積精度を高めるクラウド。
・Asprova(アスプローバ)クラウド:生産スケジューリングSaaS。
小売・リテール業界
販売・在庫・顧客データを統合し、店舗運営を効率化するSaaSが人気。

・Air REGI(エアレジ):リクルートが提供する小売店向けPOSレジ。
・Shopify POS Japan:実店舗とECの統合管理を可能にするハイブリッドSaaS。
物流・運輸業界
配車や荷物追跡をリアルタイム化し、運行効率を高めるSaaSが急成長。

・Hacobu MOVO(ハコブ・ムーボ):トラック配送・物流データ管理を一元化。
・LogiLogi(ロジロジ):中小物流事業者向けの運行管理クラウド。
農業・アグリテック業界
センサー・ドローン・AIを活用し、収穫や栽培を最適化するSaaSが台頭。

・Agricloud(アグリクラウド):農業データの分析・共有プラットフォーム。
・AgriBus-NAVI:農機GPSナビゲーション連携クラウド。
4. バーティカルSaaSを選ぶ際のポイント
・業務適合性:自社フローや専門用語にどれだけフィットするか
・法規制対応:医療・建設などの独自ルールへの準拠
・コスト・効果:導入負担に対するROIを明確に
・サポート体制:業界知識のあるカスタマーサクセスが重要
・拡張性:API連携や他システムとの接続性
バーティカルSaaSは、単なる業務効率化ツールではなく、「現場の課題解決」に真に寄り添うために生まれた次世代のクラウドサービスです。医療・建設・教育・飲食など、どの業界でも共通しているのは「現場に最適化された使いやすさ」と「業務データの蓄積による継続的な改善力」です。これからのDX時代において、企業が競争優位を築くためには、単にツールを導入するだけでなく、自社の業界構造やワークフローに最も合ったバーティカルSaaSを選ぶことが欠かせません。業界の知識とテクノロジーの融合こそが、ビジネス変革を加速させる鍵となるでしょう。
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