オフショア開発はAI・ブロックチェーン・データ技術に本当に対応できるのか？10年の現場経験から見る現実と可能性

近年、DX（デジタルトランスフォーメーション）や業務自動化の加速により、企業の開発ニーズは「安く・早く」から「高品質で高度な技術対応」へとシフトしています。特にAI、ブロックチェーン、データ活用といった次世代技術への期待は高まり、これに対応できる開発パートナーの選定が重要なテーマとなっています。本記事では、10年以上にわたりオフショア開発に携わってきた立場から、ベトナムを中心としたオフショア開発が先端技術にどこまで対応できるのかについて、事例・メリット・リスク・体制面などを多角的に解説します。

1. オフショア開発の進化と現状

かつて「オフショア＝単純作業の外注」というイメージが強かった時代から、現在ではAI・クラウド・モバイル・IoT・DevOpsなど、より高度な分野へと移行しています。

特にベトナムでは、次のような実績が注目されています。

・日本語対応可能なBrSEが年々増加

・上流工程（要件定義、UI/UX設計）から対応可能なチーム体制

・AI、ブロックチェーン、データサイエンスに精通した技術者が増加中

2. AI・ブロックチェーン・データ技術の必要性と期待

現代のシステム開発では、次のような技術ニーズが急増しています。

・AI（機械学習・自然言語処理）：チャットボット、レコメンデーションエンジン、画像分類など

・ブロックチェーン：認証管理、データ改ざん防止、NFT、DeFi

・ビッグデータ／データ分析：BIツール連携、データレイク構築、リアルタイム解析

これらの技術は、コスト削減だけでなく競争力の差別化に直結する要素となっており、外注先にもそれなりの技術力・柔軟性・継続運用能力が求められます。

3. ベトナムオフショアはこれら技術に対応できるのか？

技術力

・ベトナムではAI／データ／ブロックチェーン分野における大学・研究機関との連携が進んでおり、FPT大学、ハノイ工科大学などがAI専門人材を輩出

・TensorFlow, PyTorch, Apache Spark, Solidity, AWS, GCPなどに対応した開発チームが豊富

実績例

・AIを用いた顔認証ログインシステム

・ブロックチェーンを利用した契約管理プラットフォーム（スマートコントラクト対応）

・小売業向けの販売データ分析ダッシュボード（PowerBI／Tableau連携）

コミュニケーション

・日系企業との連携経験が豊富なPM／BrSEが増加

・多くの企業が日本語研修制度を社内に持ち、Slack／Redmine／Backlogでの日本語運用に対応可能

4. 技術力の見極め方：外注先に聞くべき質問例

・過去6ヶ月でAIまたはブロックチェーン案件の実績はありますか？

・対応フレームワーク／言語／クラウドは？

・担当するPMやリーダーはどのくらいの経験年数ですか？

・ナレッジ共有・ドキュメント整備の体制はありますか？

5. 推奨体制：AI／Blockchain案件に強いオフショア構成

AI・ブロックチェーン・データ分析といった高度な技術分野においても、ベトナムを中心としたオフショア開発は確かな技術力と柔軟な対応力を持ち、十分に選択肢となり得ます。ただし、プロジェクトの成功には「適切な体制設計」「技術者の選定」「ナレッジの共有体制」などの準備が不可欠です。オフショアを単なる“コスト削減”の手段として捉えるのではなく、戦略的なパートナーシップとして長期的に活用することで、企業は変化の激しい市場においても競争力を維持・強化することができるでしょう。