
1. 機能仕様書とは
機能仕様書(Functional Specification)は、システムやアプリケーションが「何をどのように動作するか」を明確に記述した設計図です。要件定義書で決まった内容をもとに、具体的な機能ごとの設計内容を詳細に落とし込んだドキュメントであり、主に開発者やテスターが参考にします。
機能仕様書の目的
・開発者・テスター間の共通認識を形成する
・開発ミスや手戻りのリスクを減らす
・進捗管理やレビューの基準となる
一般的な記載項目
・機能の概要
・入出力項目
・画面遷移や処理フロー
・エラーハンドリング
・外部・内部インターフェース
・ユーザー権限・制約条件 など
2. 機能仕様書のサンプル紹介
以下は、Webアプリケーションにおける「ユーザー登録機能」の簡易的な機能仕様書の例です。
機能仕様書サンプル
※ 実務では、ExcelやConfluenceなどのドキュメントツールで作成されます。
3. 機能仕様書作成でよくある失敗と対策
情報不足による手戻り
問題点: 「入力チェックを行う」など、抽象的で曖昧な記述により、開発者が実装内容を誤解し、設計変更や追加工数が発生する。
対策: 具体的に、以下のように記述する。
例:
・メールアドレスは「xxx@yyy.zzz」の形式であること
・必須項目、最大文字数、使用可能文字を明記
曖昧な表現による誤解
問題点:「必要に応じてログを出力する」「タイムアウト時は適切に対応する」など、曖昧な表現が原因で開発者によって実装内容が異なる。
対策:
・ログ出力の有無、出力先、出力内容を明確に定義。
・タイムアウト時のエラーメッセージ、ユーザーへの通知方法も記述。
想定漏れによる不具合
問題点:正常系ばかりに集中し、例外系やエラー処理が記載されていないことが多い。
対策:
・ネットワークエラー
・DB接続失敗
・入力値の異常系
・APIからのエラー応答、など、例外ケースも必ず記述する。
4. 機能仕様書作成の5つのポイント
品質の高い機能仕様書を作成するには、以下の5つのポイントを意識しましょう。
読み手を意識する
機能仕様書の読者はエンジニアだけではありません。テスト担当者、マネージャー、UIデザイナーなども理解できるように、専門用語や略語は注釈を加えるなどの配慮が必要です。
画面遷移図を入れる
文章だけでは理解しづらい場合があります。画面遷移図や処理フローチャートを入れることで、全体像が一目で把握可能になります。
図やイメージ画像を使用する
画面モック、処理フロー図、ER図などのビジュアル要素を積極的に使いましょう。これにより、開発者だけでなく非技術者にも理解しやすくなります。
変更管理を徹底する
仕様書は「一度作って終わり」ではなく、変更が頻繁に発生するドキュメントです。バージョン管理、変更履歴、日付、変更者を明記し、最新版が常に誰でも確認できる状態に保ちましょう。
継続的に改善する
初めての仕様書で完璧は無理です。レビュー、フィードバック、他メンバーの指摘を受けて、少しずつ改善していくことで、ドキュメントの質が上がり、チーム全体の生産性も向上します。
5. 機能仕様書作成のポイントを押さえてプロジェクトを成功させよう
機能仕様書はプロジェクト成功の土台です。
仕様が曖昧であればあるほど、開発フェーズでの認識のズレ、手戻り、バグ、納期遅延が発生します。
逆に、丁寧に作られた機能仕様書は、全員の共通理解を生み、開発スピードと品質の両立を可能にします。
機能仕様書は、単なる開発資料ではなく、プロジェクト成功の鍵を握るコミュニケーションツールです。読み手を意識し、視覚的な要素を取り入れ、変更履歴や例外処理も丁寧に記述することで、手戻りや誤解を防ぎ、チーム全体の生産性を向上させることができます。継続的な改善と明確な仕様の積み重ねが、最終的には高品質なプロダクトを生み出す力となります。
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